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今日も新たな"ネタ"を求めて。

録画用サーバPCを組んだ時の話

1年前に深夜アニメを大量に録画しようと思い立ち、初めての自作PCとして録画用サーバを構築したのだが、いつか暇になったらその構成をWebに公開しようと思いながらもう1年も経ってしまった。(現代人には暇な時間などないのだ。)

PC業界は移り変わりが激しいので、1年経つだけで情報が陳腐化してしまってもおかしくはない。とはいえ、このまま書かないで放置するのも色々と都合がよくないので、この機会にまとめておこうと思う。

今回は録画PCのハードウェアの話にとどめておくが、そのうちエンコード周り等ソフトウェアの話も書けたら書きたい。

組む前に

自作PCを組むにあたって最重要視すべきことは「何に注力するか?」であるように思う。これが明確でないと、パーツの種類がたくさんありすぎて、選ぶ基準が無くなって困る。しかし、PC全体でのコンセプトを決めて、その上で各パーツを選んでいくと、案外すんなり決まるように思う。

PCパーツを差別化する要素は、以下のように色々ある。それぞれは必ずしも相反するものではないことに注意。

  • 価格(とにかく安いやつ)
  • 性能(とにかく速いやつ)
  • 省電力(ピーク電力、アイドル電力の2種類ある)
  • 静音性(ファンがうるさいのをどこまで許容するか)
  • 多機能(最新規格に対応してるかどうかとか)
  • 大きさ、見た目(部屋で邪魔にならないか)

僕はこのうち、静音性+省電力を重視して、価格と性能は二の次ってことにした。というのも、サーバとして24時間運用する以上、寝ている時にうるさくなくて、月々の電気代に響かないことが結構重要だからだ。性能に関しては、お金をかけた分の利益が得られそうなときだけ上げた。この辺の話は、別に縛りプレイではないので、困ったときに従う程度にざっくり決めておけばよいと思う。

構成

ということで僕の録画サーバの構成を。

パーツ名 型番 税込価格(当時)
ケース Define Mini ¥9,561
電源 SST-ST30SF ¥6,880
マザーボード B85M-G ¥5,458
CPU Core i5 4460 ¥19,440
CPUクーラー SCKTT-1000 ¥2,880
メモリ CFD W3U1600HQ-4G ¥9,279
SSD CT256MX100SSD1 ¥11,980
HDD (1) WD30EZRX-1TBP ¥10,559
HDD (2) MD04ACA300 ¥9,200
チューナー PT3 ¥11,680

しめて10万強くらい。この他にディスプレイ、キーボード、マウスも買っているから、実際にはもっとかかっている。色々調べた割には、価格.comで上位から適当に引っ張ってきたようなやる気のない構成になってしまった。まあ自作PCは初めてだし、変態構成を目指しているわけでもなし、別にいいのだけれども。

Linuxで運用するのでOS代無し。元々仮想化して使う予定だったのだが、PT3のPCIパススルーが上手く行かなくて断念。

PCゲーム等はやらないので、ビデオカードはなし。録画データをハードウェアエンコードしたいなら要るのだけれど、圧縮効率はx264の方が良い(はず)なのと、ビデオカードは挿すだけでアイドル電力が上がるという点を考慮して使わない。というかそもそも、Linuxではハードウェアエンコードが出来ないのだが……。

ケース

ケースは結構悩んだ。見た目はほとんどケースで決まるし、好みも分かれるポイントだし、何よりケースは中のパーツより寿命が長い可能性が高い。デカいから捨てるのも面倒くさそう。というわけで割と慎重に。

僕の中で静音ケースを探して、当時候補に上がったのが以下の製品。

  • Fractal Design Define Mini (買ったやつ)
  • Fractal Design Define R4
  • SilverStone SST-PS07
  • Antec P100
  • Antec P280

ケースは実際に店舗に行って見るのが一番良いと思った。最初P100を買うつもりで何度か見に行ったのだが、前面ドアの安っぽさ感がどうしても受け付けられなくて却下した。Define Miniを選んだ理由は、実際に見てみて大きさがちょうどよかったから。Miniとかいう名前の割にやたら大きいケースなのだが、microATX専用ケースということもあってR4とかのATXケースよりは少し小さくて、意外と重要な差だと感じた。microATXだけで拡張性は心配ないかは今のところ断言できないが、現時点では困っていることはない。

ケースに関しては、今だったらDefine R5を買うのが良さそう。ただし実物を見たわけではない。R5は3.5インチベイ8個と、HDDを大量に積む必要がある録画サーバに持ってこいだと思う。

電源

SilverStone SFX電源 300W SST-ST30SF

SilverStone SFX電源 300W SST-ST30SF

  • メディア: Personal Computers

電源はSST-ST30SFをチョイス。電源容量300Wと小さめ。この電源はセミファンレスってやつで、一定以上の温度まで高くならないとファンが回らないという仕組みになっている。実際、今までこの電源のファンが回っているところは見たことない。

電源は低負荷時での効率が低いという特性を持っている。下手に大容量の電源を買って、実際には低負荷で運用すると、低効率状態でずっと使うことになってしまう。僕の作ったPCはというと、アイドル電力が30Wくらいで、CPU高負荷時で80Wくらいを消費している。このぐらいの消費電力だったら小型の電源にしておいた方がいい。

マザーボード

マザーボードはB85M-Gで、わざとローエンド的な製品を買った。これでもSATAポートは8本あるようだし、機能的には十分だと判断した。

省電力を追求するという考え方からすると、マザーボードの機能は出来るだけ少ないほうがよい。マザーボードは常に通電しているので、特にアイドル電力に影響を与えるからだ。この辺の話は、2ch自作PC板にある「低消費電力 自作PC」スレを眺めると参考になる。世の中にはアイドル電力を削ることに執念を燃やしている人もいるらしい。

CPU

CPUは、あまり迷わずにi5 4460に決めた。i3にしてコア数を減らすのはさすがに性能的に許容できなそうだと思ったのと、i7にしてハイパースレッディングで受けられる恩恵はごく一部だと思ったのでi5に。i5内の上位モデルにした時の周波数向上も同様に必要なさそうだと感じたので、一番安い4460で。

よく言われていることとして、高性能CPUが欲しいからK付きのシリーズを買えば良いというわけではなくて、K付きはオーバークロックすること前提の一部の人々向け。でも最近はKだけマイナーアップデートしている(?)ようなので、一般人が買ってもいいかもしれない。あと、T付きやS付きはTDP値が低いので省電力だと思われていることがあるが、これらは最大消費電力を抑えるという意味なので、アイドル電力が小さいわけではない。メーカーPCにおいて筐体の設計上熱の制約が厳しい場合に使われる。

CPUクーラー

サイズ 【HASWELL対応】 虎徹 12cmサイドフロー SCKTT-1000

サイズ 【HASWELL対応】 虎徹 12cmサイドフロー SCKTT-1000

  • 発売日: 2013/10/26
  • メディア: Personal Computers

CPUクーラーは後でも買えるので、CPU付属のリテールクーラーで十分という人はそれでもいいかもしれない。僕も後でから追加購入した。

僕のようにCPUでソフトウェアエンコードするような人は、CPUが高負荷で回り続けるので必須だと思う。高負荷時のCPU温度が60℃台だったのが、CPUクーラーを交換してから40℃台に収まった。あまり高温で運用し続けるとCPUの寿命が縮まりそうな気がする。

メモリ

メモリはぶっちゃけ何でもいいと思う。最近は相性問題もほとんど起きないらしい。メモリの価格は2012年以降上昇するというとんでもないことが起きていて、大容量をチョイスする気になれなかったので4GB×2で。お金がある人は8GB×2でいいと思う。

SSD

SSDはシステムを置いておく用。256GBはあった方がよいと思う。

HDD

HDDは安いやつで。WD30EZRX-1TBP(通称WD緑)は単価が最も安いHDDとして有名。今のところRAIDは組んでなくて、吹っ飛ぶとヤバいので何とかしないといけない。

MD04ACA300も一時期WD緑に迫るぐらい安かったのだけど、最近は少し値段差が開いた。これはサブで使っている。

チューナー

PT3 Rev.A

PT3 Rev.A

  • メディア: Personal Computers

PT3一択だと思う。ノートPCで録画したいとかの事情がなければ。

PT3は地上波×2とBS×2を同時録画出来るが、地上波のチャンネルはそれでも足りない場合があるので、増設するかはちょっと検討中。

録画用途だとPT3にPCIeのスロットを最低1個持っていかれるので、ビデオカード等々積むかもしれない人は注意したほうがいいかもしれない。

終わりに

自作PCといっても部品を買って組むだけだから、やる気とお金さえあれば誰でも出来ると思う。実際、組み始めてから起動させるまで、僕でも6時間くらいしかかからなかった。

全てにおいてベストな決断が出来ているわけはないのだが、まあまあ無難なものを作れたとは思う。電力に関しては、24時間稼働させることで実際に月々の電力が1000円くらい上がったのだが、ランニングコストとしては問題ないと思っている。静音性については、PCを稼働し始めた後、ワンルームだと冷蔵庫や空気清浄機や換気扇の方がずっとうるさいということが分かってしまった。そうはいっても騒音源は少ないほうがいいのは間違いないし、最近HDDが時々ゴンゴンうるさくて困っている。

録画用サーバPCといいつつも、それ以外の用途に使っている時もあるので、その時はエンコードでCPUが100%で回り続けているのは割とうっとうしい。僕は作業用にノートPCを併用するのでそれほど気にならないのだが、デスクトップPCとしてもきちんと使いたい人は、ハードウェアエンコードするなりCPUやメモリを強化するなりした方がいいかもしれない。